本書は「本気で早期リタイアしたい人のため」の書だ。わたしが40代前半で会社を早期リタイアして、およそ9年が経過した。退職したのは2011年(平成23年)だ。3.11の東日本大震災による災害と不況の真っ最中だった。2020年(令和2年)の「コロナ禍」よりもひどかったと記憶している。「お先真っ暗」な時期に会社を辞めて早期リタイア生活に突入した。わたしの早期リタイアは、いま米国で流行している「FIRE」ではない。「FIRE」とは「Financial Independence, Retire Early」の略で、訳すと「経済的に独立して早期リタイア」だ。経済的独立(莫大な貯蓄や不労所得などで働かなくても生活できる状態)を達成して、引退の目安とされる65歳よりかなり早く仕事から足を洗って自由に生きるという運動(ムーブメント)だ。「解雇する」も英語で「FIRE」なので、言葉を掛けているのかもしれない。わたしはふつうの日本企業のサラリーマンだった。特に高給取りでもなかった。米国の「FIRE」のようにビジネスで大成功して大金を作れたわけではない。コツコツと貯金と株式投資で「早期リタイア資金」を少しずつ増やしていった。「早期リタイア」はマイナーなライフスタイルだ。ある程度のまとまった貯蓄(少なくとも1,000万円以上)をためこんで定年よりもかなり前(30代~50代前半くらい)に会社を辞めて自由に生きるなんて、サラリーマン100人のうち1人が実践するかどうかのライフスタイルだ。「会社辞めたい」と愚痴りながら「70歳まで働くしかない」と思い込んでいるひとが100人中99人のふつうのひとだ。しかも、2020年のコロナ襲来でますます「早期リタイア」はマイナーになっていくだろう。本書を書いている2020年10月現在、コロナ禍による不況の真っ最中だ。サラリーマンの多くは収入減と老後不安で「早期リタイア」どころではないのかもしれない。「人生100年時代」でもあるので、少なくとも定年まで働き、定年後も1年でも長く働く「一生Go To Work」が時代のトレンドになる。しかし、本書が「それでも早期リタイアしたいんや!」という「本気度」の高い方や、実際に早期リタイア生活を実践している方の役に立てれば幸いだ。本書は、著者のブログ「SOUTAi 40」の2018年に更新した記事の中から「早期リタイア」に役立つもの厳選して大幅に加筆修正した上に、書き下ろし記事を多数加えたものである。【目次】はじめに01. 40代前半で早期リタイアした経緯02. 早期リタイアは「タイミング」ではなく「勢い」で実行する03. 退職の意思表示は「口頭」か「メール」か迷った04. 早期リタイア資金を用意するための心得5カ条05. 早期リタイア1年目の「3大支出」にパニックになるな06. 早期リタイアしたがヒマで死にそうなときはどうすればいいか07. 年収300万円でも40代前半で早期リタイアする方法08. 早期リタイアを本気で考え始めた貯金額は3,000万円09. 早期リタイアは「一生遊んで暮らせる貯金」を持っている方が失敗しやすい10. なぜサラリーマンでいると「安心」なのか11. 「社交的ぼっち」は楽だけど苦痛なので会社を辞めた12. 「早期リタイア」という人生を選ぶきっかけとなった座右の書13. 確定申告は「青色申告」しよう14. リタイア生活に必要な貯蓄額を他人に決めてもらうの?15. 早期リタイアの心配事は10割起こる16. 「預金封鎖」は心配していない17. 株の配当金や売却益で早期リタイア生活を送るのはハイリスク18. 宝くじで1億円当たって早期リタイアしたら悲惨な末路になるか19. 早期リタイア生活に紙の手帳はいらない20. 早期リタイアして100歳まで働かずに生きるおわりに~のんびり月見ができる早期リタイア生活を続けたい参考文献参考URL著者プロフィール奥付